↑一覧へ 次へ→

オホーツクつれづれ草

2016/01/28

白鵬の、更なる活躍を期待
 今場所、信じられないモロさ


 漲(みなぎ)る自信、堂々たる風格。いかなる展開にも瞬時に対応する技量、高い身体能力を併せ持つ横綱・白鵬。それが今場所はどうなってしまったのか。特に後半の相撲は立ち合いの鋭さが消え、小細工が目立ち、優勝争いにからむ大事な場面で、信じられない程のあっけない黒星。勝負への執着も、気力も感じられない一方的な負け方。相撲ファンがこんな白鵬の姿を見るのは、初めてだろう。
 ウルフ≠ニ言われ、荒々しい力強い相撲で人気のあった元横綱・千代の富士。平成3年夏場所三日目を終え、急きょ開いた記者会見で
「体力の限界、気力もなくなり、引退することになりました」
 と涙をぬぐった。圧倒的な強さを誇った力士の、精根尽き果てた言葉だった。
 引退する瞬間は、こんなものかも知れない。それまでの強さが突然影をひそめ、気が抜けたような相撲内容になるのだろうか。
 白鵬が千代の富士と同じ状況だとは、まだ言えない。しかし解説者・舞の海秀平氏は昨年7月、白鵬の力が弱って来たことを語っていた。そしてそれが現実的であることを、同じ解説者の北の富士氏も今場所認めている。
 しかし横綱での優勝35回で、通算670勝は元横綱北の湖に並び、あと1勝で記録を更新する。強い強い横綱・白鵬。絵にかいたような力士。本人はまだまだ大相撲の頂点で居られると信じているだろう。左腕など故障個所も多いのかも知れないが、それを治し、万全の状態で次以降の場所に挑んで欲しい。また優勝、連勝記録を続けることも、容易に想像できる。白鵬とは、そんな不死鳥のような、息の長い力士に思える。


白鵬よ、孤高の力士を目指せ

 今場所は、10年振りに日本出身力士・琴奨菊が優勝した。角界関係者が心から待ち望んでいたことだ。相撲ファンもメディアも、なりふり構わず喜びを表面化させる。白鵬も、他の外国出身力士も、その過熱ぶりに戸惑っているだろう。大相撲は世界に門戸が開かれている。出身国がどこであっても、力士である以上区別されるものではない。日本人だの北海道出身だの、あまりこだわるべきではないだろう。
 果たして白鵬は、体力、気力の限界なのか。それとも来場所から力強い相撲をとるのか、是非今まで通り、孤高の嶺を行く白鵬であって欲しい。