4月4日告示、4月13日投票の北海道議会議員選挙。紋別市区(定数一)は現職の井上真澄氏(58、無所属)と新人の阿部徹氏(53、自民党公認)が立候補。両氏に公約や主張、決意などを聞いた。(聞き手=本紙編集長・桑原章)



阿 部 徹 氏
(53、自民公認=新)


井 上 真 澄 氏
(58、無所属、民主・公明推薦=現)

 昭和二十四年七月九日紋別市生まれ。酪農学園機農高校卒業。平成二年紋別市議会議員初当選。以来連続三期。自民党紋別支部幹事長、武部勤紋別市連合後援会幹事長、紋別市森林組合代表理事組合長などを務める。

 昭和十九年六月三日置戸町生まれ。北見柏陽高校卒業。昭和五十三年、紋別市議会議員に初当選。以来連続六期。平成十一年四月に北海道議会議員に初当選。道議会では水産林務常任委員会理事などを務めている。

■阿部徹氏インタビュー

  (3月22日・土曜日、本紙2面掲載)


◎夢ある地域つくりたい
 
新人の阿部徹氏「愛する紋別のために」


 \まずあらためて立起の決意をうかがいます。

 阿部 紋別は私が生まれ育ったふるさとですから、このふるさとを愛し、そして元気な北海道や紋別をつくるため立起しました。市議としての十二年間の経験を生かして紋別市とオホーツク圏の発展のために道政の場で活躍したいということです。

 \北海道とオホーツク圏が発展するための基本理念は?

 阿部 一言で言えば第一次産業の発展なくして道の発展はないということです。北海道はかつて石炭産業が経済をひっぱっていました。その後は苫東や石狩に工業団地をつくったわけですが、私はやはり、その間、一次産業の整備が遅れたんだと思います。

■農村景観で観光振興を

 \農林水産業それぞれでいうと?

 阿部 私は農家の長男に生まれましたから農民の血が流れています。生産する喜びを肌で知っています。農業はやはり消費者に目を向けた農政が必要です。家畜の糞尿対策、農村特区への支援、BSE対策も重要です。林業については私自身、森林組合長を務めているわけですが、林業基本法も変わって、環境問題を重視した林業に転換しています。私は国に財政支援も含めた政策のテコ入れをさらに求めていきます。漁業は、紋別の最たる産業ですが、サケマスを中心にした資源管理型漁業の体制を強化したい。ぜひオホーツク海に栽培漁業センターを誘致したいですね。ホタテは貝毒の検査体制の推進、それに素晴らしい水産加工技術があるわけですから、もっと紋別ブランドを売り出していかなければ。私はね、夢があるんですよ。いいですか?

 \どうぞ。ぜひ。

 阿部 紋別の農村っていのうは山あり海あり、流氷ありで、本当に素晴らしい景観に恵まれているでしょう。だから農村を一つの観光として捉えられないか。国・道・ホクレン、民間も含めて第三セクターの組織をつくって整備できないかと。農家に三角屋根をつけて時計台風にするとか、夢のある景観をつくりたいんです。都会の人が来て、心を癒せる、優しさを感じさせる地域や景観をつくりたいんです。

■福祉村をつくりたい
 道立紋別病院の早期改築を

 \そうした新産業では他に何か考えていますか。

 阿部 今の話と関連しますが、やっぱり観光を紋別の新産業として位置づけ直すべきと思うんです。たとえば食材はいっぱいあるわけですから、紋別ならではの地域弁当とか面白いんじゃないですか。

 \では地域の医療や福祉などについてはどうですか。

 阿部 まず道立紋別病院の充実が求められますね。頑張っていると思いますが、例えば医師が二年程度で変わってしまいます。それじゃあ患者さんと医師との信頼関係が構築されにくいじゃないですか。少なくとも五年程度はいてもらわないと。早期改築も含めて充実させていきたいですね。福祉については、市議時代から私も取り組んできましたが、施設も充実してきたし、マンパワー(人材)の強化に努めたい。私は地域福祉村構想というものをつくって、高齢者が食事や医療の心配がない、そういう地域を整備できないかと考えているんです。

 \地域の懸案の課題である市町村合併は?

 阿部 将来を展望する時、避けて通れない課題です。私は個人的には推進する立場ですが、財政上の問題や住民感情もありますから、冷静に審議することが必要だと思っています。賛否両論があるでしょうが、やっぱり紋別市がリーダーシップをとっていかないと。私も市長と手を携えて努力したいと思っています。

■井上さんとはここが違う

 \政策的には阿部さんも井上さんも一次産業の振興を唱えるなど、違いが見えにくいわけですが、どこが異なるんでしょうか。

 阿部 私は政党で汗をかいてきた人間です。政党は政策が命であり、政策を実行するのは政党だと思っています。私は自民党紋別支部の幹事長も務めていますし、政党人として自信をもって活動しています。そこが違いです。利益誘導型だとかそんな政治はもう市民に受け入れられないし、私はそういう古い体質の政治は改善していくべきと思います。

■人の痛み分かる施策を
 「政治とはすごいもんだ」

 \市議時代を振り返って成果と反省は?

 阿部 人の痛みの分かる政治家でありたいと思い努力してきました。陽の当たらないところに陽を当てるという信念で、金田市政、赤井市政の与党として、市政進展の一翼を担ってきたという自負があります。特に思い出が深いのは小向の鉄道跡地の利用ですね。地元の先輩の岩田太一議員とともに取り組み、市の総合計画のなかに農村公園として計画が採択された時は、嬉しかったですね。反省という点では、財政問題をもっとしっかりやるべきだったと。

 \座右の銘はありますか。

 阿部 「初心忘るべからず」です。いつも新人のつもりでチャレンジします。私が秘書として仕えた新沼浩前道議はオホーツクプログラムという計画を唱え、実際にオホーツクタワーの建設などを次々と実現したわけですが、最初構想を聞いた時は「そんなことが果してできるのか」と思い、結果として「政治とはすごいもんだ」と思い知らされました。それは忘れることができません。

 \後援会活動の手応えはどうですか。

 
阿部 立起した当初は「現職の壁は厚いな」と思わされましたが、地道に歩いて回りながら皆さんに叱咤激励を受けるなかで、金星だってありうるなと思っています。不安もありますが、身の引き締まる思いの毎日です。今度の選挙は紋別市の政治土壌を決める戦いだと思っていますし、勝ちに行く戦いをしていこうと思っていますよ。

(以上)

■井上真澄氏インタビュー

  (3月22日・土曜日、本紙2面掲載)


◎暮らしを守る道政を
 
現職の井上真澄氏「地元の声を反映」


 \まず一期目を振り返っていかがですか。

 井上 本当にあっという間でした。地元に身近な道議を目指すということで、地元のいろんな方の意見に耳を傾け、その声を道政に反映させてきたつもりです。厳しい経済情勢ですが、景気浮揚には住宅が大きな効果をあげますから、道営住宅をはじめとする各種住宅建設を手がけてきました。ただ土木関係は足らなかったかなと思っています。公約の一つである道立病院の充実については麻酔科も発足しましたしサービスの向上は前進していると思います。

■庶民にシワ寄せしない改革を

 \二期目への決意は?

 井上 やっぱり市民の皆さんとお話しして特に感じるのは医療・保健・福祉の分野で不安が強いんですね。だから公共投資のあり方にしても、段差をなくすとかバリアフリー化とか、そういう方向にシフトして進めなければならない。観光の発展のためには橋や道路の整備だって必要です。それに雇用対策。やっぱり若い人たちが職につけないようなマチであってはなりませんよ。私もかつては市議として地方自治に関わってきたし、その『壁』というのも経験してきました。解決のためには北海道の構造改革が必要なんですが、勤労者にただシワ寄せする構造改革なら誰でもできるんでね。

 \じゃあ、これからの北海道とオホーツク圏の発展のカギはなんですか。

 井上 やっぱり一次産業の充実です。私自身、道議会の水産林務常任委員会に所属していますしね。漁業は端的に言ってポスト・ホタテの開発。ホタテで培った経験や技術をベースに、次の製品を開発していくこと。農業、特に酪農は、生産第一主義で進めてきた結果BSEという落とし穴に入ってしまったわけですが、やはり北海道から安全・安心な食を提供することです。林業は「どこまで落ちるのか」なんて言われてましたが、環境問題への関心が高まるなか、その重要性が深く認識されてきました。やはり輸入の外材を阻んで、国内の間伐材を利用していく形にすることが必要です。林業は関連の施策も含めて年間一千億円くらいの投資をしていけば、北海道が日本の森づくり、山づくりのリーダーになるだろうと思います。山づくりをすることは、農業や漁業にももいい影響を与えますからね。

■食や港生かし新産業を
 若い人が誇りもてる職場に

 \新しい北海道産業の創出も必要ですね。

 
井上 道もIT産業を育てていくという方針です。否定するものではありませんが、あんまり進んでいくと人間、本来の感情が失われていくような……。新産業ということでは、北海道は食をはじめ素材がいっぱいあるわけですから、そうしたものを活用した付加価値化が重要です。水産加工業にしても、従来のイメージじゃなくてね、若い人がどんどん入ってきて、新製品開発に誇りをもってチャレンジするようなそんな改革や支援策が必要です。それとサハリンで天然ガス・石油開発が進んでいますが、これを北海道や紋別の地域経済に生かさない手はない。パイプライン計画もありますが、船の輸送もあるでしょう。紋別港もその舞台になってくるし、地域経済の新たな創出の可能性があると思います。

■阿部さんとはここが違う

 \対立候補として新人の阿部徹さんがいますが、阿部さんもまた一次産業の振興や地域医療の充実を訴えています。有権者としては同じ…

 井上 違いが見えないって言うんでしょう。彼も私と同じ市議出身で地方自治に携わってきたわけですから、地域を思う気持ちは変わらないでしょう。ただ彼はやっぱり所属する政党の枠があって、そこから離れていない気がしますね。政党の上のほうに頼っているというのか、国に頼っているというのか。地方分権の時代ですから地域が自立して自主決定をしていくんです。人任せ的な自立じゃダメなんですよ。そこが彼と私の違いじゃないかな。

■「人の3倍やらなきゃ」
 子供たちを元気づけたい

 \地域の自立といえば市町村合併という大きな問題に直面しています。

 井上 急いでバタバタやるというのは避けるべき。地方自治体の自主権のもとで十分話し合って、お互いがメリットを出し合う形でないと。消防やごみ処理とか、いろんな分野で広域化が行われているわけですから、そうした積み重ねのなかから、合併の機運が生まれてくるんだと思います。
 \合併ではないですが、DOいなか博も広域ですね。
 井上 ええ。道が、いなか博を支援しようというのも、これからの行政は広域的に展開しなきゃいけないという理念が一致したからですよ。

 \ところで井上さんの座右の銘はありますか。

 井上 「真実一路」です。私は三十一歳で紋別市民になって、海も山も川もある紋別というマチが大好きで、そして三十四歳で紋別市議になりました。「とにかく人の三倍やらなきゃ紋別の人に認知されないだろう」と思いましてねぇ。機会があれば、市民と対話してきましたし障害者や高齢者など光の当たらないところに光を当てようと活動してきました。

 \これまでの後援会活動の手応えはどうですか。

 井上 多くの支援者が手弁当で応援してくれているのでありがたいです。ただ、手応えがどうのというはあとからついてくるものですから。私はいろんなお宅に訪問してもね、子供さんがいれば、まず大人よりも先に声をかけます。少子化で、子供さんと会うこと自体が珍しいんですが「学校は楽しいかい?」って聞くことにしてるんです。やっぱり子供が次の社会をつくっていくわけですから。だから、自分の当選をめざすのは当然なんだけれど、歩いていても、まず子供たちを元気づけようと思ってね。それが私流のやり方になるのかなぁ。

(以上)



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