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「瓜の畑で靴をはくような、または梨の木の下で冠を直すような振る舞いは、見る人に誤解を与える。君子たる者、気をつけるべし」。故事の教えである。不正をしなくても、誤解を与えること自体望ましくないという心構えを説いている▼そんな高尚な精神とは掛け離れた大分県の教員採用汚職。梨花に冠どころか、梨花に汚れた手を入れ汚れた果実を摘み取り、きれいな果実を地面に落とすという、公務員として信じられない行為である。教育行政を運営する教育委員会、そして現場の校長、議会議員まで加わって慣例的に行われていた疑いがある▼賄賂(わいろ)を受け取った、いわゆる有力者が、その理由を「病気見舞いで品物をもらい、その紙包みの底に封筒に10万円が入っていた。返そうと思い電話をかけたが、再三見舞いだと言われ、結局受け取った」と語っている▼人間は、うまい話には弱いものだ。おかしい≠ニ思っても、それを受け取るには、いくらでも都合の良い理由がつく。「あまり断るのも相手の心を傷つける」「自分が受け取らなければ他の受け取った人に迷惑がかかる」「先ずは受け取っておいて、後で返そう」などなど。結局は目の前の金品に理性を失っていながら、そうでない自分を演出しようとする▼それにしても、教育現場を預かる教育者、行政の中枢にいる者が、慢性的に汚職を続けてきたのは許し難い。黒い金品を自己中心的な勝手な理由をつけて動かし、利益を得てきた。それが構造的に行われてきたことに問題がある。再発防止策をいろいろ考えているようだが、本来、そんな対策は不必要。任に就いている者が、平常心で善悪を判断できる普通の人間であれば良いだけなのだ。