←前へ ↑一覧へ 次へ→

デスク記事

2008/10/12

 もし謎かけ問答で「ノーベル賞受賞者とかけて何と説く?」と問われたら、私は「新幹線の品川駅」と説く。その心は「日本の底力」▼新幹線品川駅は2003年の10月に完成。今月で5周年になる。同駅の完成を機に「ひかり」から「のぞみ」に名称が変更され、時速270キロの高速運転となった。駅周辺は高層ビルが林立し、新たに生まれた商業施設の床面積は東京ドーム100個分という。1990年初頭に計画された新幹線品川駅。当時は日本が最も活力のある時代で、品川駅は日本の底力の象徴と言える▼反対に、現在の日本は決して元気があるとは言えない。少子高齢化社会、地域格差、凶悪犯罪の増加、経済成長の行き詰まり感など、日本の現在から未来にかけては、明るい材料が少ない。ゆとり教育の弊害などで学力の低下も著しい。世界に誇ってきた教育分野でも、他国に比べて理科系の学力低下が懸念されるなど、自信を失いつつある▼そんな時、ノーベル物理学賞、同化学賞に4人の日本人科学者が決まった。快挙である。麻生総理が受賞者の下村氏に「暗い材料の多い日本にあって、ノーベル賞の受賞は日本人の心を明るくした」という電話をしたというが、このところ明るいニュースが少ない日本。一挙4人のノーベル賞は日本人の心を明るくした▼4人に共通しているのは、それぞれが個性豊かで、心が若いということ。そしてその言動一つ一つに味がある。母校の子供達も「僕たちの学校で学んだんだね。僕たちも勉強しよう」という明るい表情だ。子供達の理科離れが心配されているが、今回の受賞は若い世代に物理や化学の分野に興味を持たせる原動力になるだろう。4人の受賞に、頭脳で世界に貢献する日本人の底力を見る思いだ。