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デスク記事

2008/06/19

 世界ランク1位のタイガー・ウッズと、158位のロック・ミーディエイト。対照的な2人が全米オープンゴルフで歴史に残る名勝負を演じた。人気、実力ともに頂点のウッズに対し、ミーディエイトは45歳のベテラン。その2人が4日間のプレーで決着が付かず、翌日2人によるプレーオフ。それでも決着が付かず、サドンデス(先にリードした方が勝利)でウッズが優勝した▼ウッズはメジャー4大会で各3勝以上のトリプル・グランドスラムを達成する偉業を成し遂げたが、それ以上に讃えられたのがミーディエイトだった。プレーオフでも、三打も離されながら、奇跡のバーディーラッシュで一時は逆転の猛追。史上最年長のメジャー優勝者の一歩手前で、涙をのんだ▼しかし、彼の戦いぶりは観客の感動を呼んだ。いかなるピンチにも笑顔を絶やさず、観客に手を振りながらの爽やかなプレー。観客はウッズの強さにゴルフの醍醐味を感じ、ミーディエイトの奇跡的な粘りに心をふるわせた。やがてゴルフ場全体に「ロッコ」の大合唱が広がり、レポーターは映画ロッキーの一場面を見ているようだ≠ニ叫んだ▼一時はゴルフから遠ざかり、テレビのリポーター役をしていたミーディエイト、誰もがその名を忘れていた。しかし見事に復活したベテランに、観客はアメリカン・ドリームを見る思いだっただろう。「ウッズと戦えたのは私の喜びであり名誉。私がここまでやれるとは誰も思わなかっただろう」と、またニッコリ笑顔を見せた▼勝負とは、誰が勝つかではなく、試合の中にどんなドラマが隠されているのか。それを背景に選手がどのようなプレーを見せてくれのか、そこに在るのだと、今回の名勝負は教えてくれた。