←前へ ↑一覧へ 次へ→

デスク記事

2009/04/23

 友人の病気見舞いで旭川赤十字病院を訪ねた。そこでピンク色の衣装を着た、初老のご婦人を数人見かけた。胸に「ボランティア」と書かれてある。どんなボランティアなのか聞くと「来院される方を診療科やトイレへご案内したり、小さな御用のお手伝いをするだけです」と言う▼「人様のお役に立てれば、私にも喜びがあります」「会に登録さえすれば、誰でも参加できますよ。私どもの会から他の病院にも行ってますよ」と、静かな笑顔を見せてくれた。病院職員からも感謝されているようで、看護師さんとも笑顔を交わしていた▼病院に限らず、これからの社会に助け合い≠ヘ重要なテーマになってくる。孤独死、介護疲れ、心身の疲労が原因による事件事故。年間3万人を超える自殺者…等々。これらの人達に一番必要なのは、他から自分に向けて差し出される暖かい手、心ではないだろうか▼国の福祉政策も今後改善されるべき所は多くある。自治体もまた、住民の身辺に届く暖かい福祉政策を模索して欲しい。しかし基盤になるのは、住民一人一人の、助け合おうとする心ではないだろうか。今≠ヘ恵まれている人、強い立場の人でも、いつかは間違いなく弱者になる。問題はその時だ▼弱い心になっている時、他から向けられる思いやりの行為は、本人にとって二倍、三倍にも有り難く感じられるのではないか。生きる希望も沸いてくるかも知れない。本当に困った時ほど、社会も人も振り向いてくれないもの。そんな時こそ人との繋がりが大切。ボランティアは、これから全てが不足してくる社会に於ける、希望の光ではないだろうか。そして、心がけ次第では誰もが持てるもので、やがて自分も、それを心から欲する時が来るのである。