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政治家・小沢一郎氏に魅力を感じる人達の集まりに「一由会」という団体がある。全国各地から政治家、民間人、主義主張の異なった人達が集まるが、共通しているのは小沢氏に自由に物を言い、幅広い政治活動の参考にして戴きたいという思いである▼年に数回の会合があるが、集まるのは百人程度の、こじんまりした会である。私は以前から小沢氏の推進力と、未来を見つめた視点に魅力を感じていたので、会員の一人として参加していた。そこで感じた小沢氏の人となりは、一般に知られている豪腕とか、ワンマンのイメージではなく、人の意見を良く聞き、静かに語り合う、謙虚な人・だった▼衆院選を目の前にしての党首辞任は、間違いなく断腸の思いだっただろう。記者会見で見せた笑顔の陰に、この国、国民へのある種の絶望感が隠されていたように思われる。政治家に必要なのは、国家百年の大計を視野に、何を成すべきか・であり、多くの政治家が行っている目先の人気取りではない▼昨年十一月の、自民・民主の大連立が失敗に終わり、小沢氏が民主党を「力量不足」と発言しながら、また党首を続投した時、小沢氏の政治生命に色濃く「陰」さした。今回の辞任で、小沢氏の民主党での役割は終わったであろう。小沢氏に、かつてのエネルギーがまだ残っているのなら、仲間と供に新党を立ち上げ、今度こそ何に遠慮することなく、自己の政治信条を発信して欲しい。彼には個人プレーが一番似合うのだ▼マスコミ、国民は「いつ辞任するか」の論議に終始した。民意は重いが、だからこそ民意の中身が大切なのだ。しかし野次馬気分で右往左往する今の民意は軽すぎる。遠くを見つめ、それに向かって今を検証する姿勢無くして、民意に重さはない。