デスク記事
学校を訪問する時、入り口に設置してあるインターホンを通して、自分の身分と訪問の目的を話さなければ、戸は開かない。各地の学校で頻発した各種事件事故以来、外部からの不審な侵入者を防ぐため設置されたものだ▼しかし学校から離れる登下校時こそ、最も危険な時間帯だ。自宅と学校の距離が数キロになる児童も居るだろう。そこを歩いて通学する児童も多い。交通事故、知らない人からの誘い・など、いつ身に迫ってくるか分からない。交通ルールを守っていても、通学路をきちんと歩いていても、いつ災難が身に降りかかってくるか、予測できない▼新一年生のランドセルの黄色いカバーと、防犯ブザー。それが身を守る唯一の道具だ。しかし、ルール無視の乱暴な運転者や、車の操作ミスなどから起きる事故。それらから身を守るには、黄色いランドセルカバーは、いかにも微力だ。また、心のゆがんだ大人の力に対抗するためには、防犯ブザーは心許ない▼しかし子供達には、それしか身を守る手段はないのだ。家から出て帰ってくるまで、子供を持つ家族は一日一日、神経の休まる時はない。「きょうも無事だった。明日はどうか」の連続である。だから、車で送り迎えをする親も多いのだ。しかし、その光景こそ、今の社会の危うさを物語っている▼では、子供達の安全を守るために、現状で何が求められているのか。それは、大人の心ある視線であろう。全ての大人が、自分の行動範囲の中で、子供達に目を向けることだ。子供の命を守ることが大人の責任、使命なのだから、その思いで、登下校する子供達に心を向けてあげよう。そんな見えない視線≠ェ張りめぐらされれば、事件事故を防ぐための、強力なバリアーになるのではないか。