←前へ ↑一覧へ 次へ→

デスク記事

2009/05/22

 激安ジーンズが話題になっている。千円を切る価格は確かに魅力で、しかもデザイン的にも勝れ、製品も良く、特に若者の間で人気が高い。取扱店によれば、安いジーンズが呼び水となって客足が多くなり、他の商品も売れるという▼何故こんなに安い価格が出せるのか。その秘密を、マレーシアでマスクなど衛生関係製品の企業を経営している方から聞いた。「衣料品関係の企業を経営する私の知人は、原料の繊維は大量調達で安く仕入れ、さらに驚いたことに、最も金のかかる人件費がほとんどゼロなんです」という▼例えばカンボジアで工場作業員を、たとえば数人でも公募すれば、黒山の人だかりとなります。彼等は、職がなければその日の食べ物もない人達で、給料なんか期待していない。食事にありつけば、それで最高・という人達です。従って賃金を払えば他の企業とのバランスがとれないので、食事だけ提供することになります」と言う▼人件費がほとんどかからなければ、格安商品の開発は出来るだろう。しかもジーンズなど長期的な人気商品なら、さらに計画的な生産が出来るはず。世界不況の中でも、生き残ってゆける要素が生まれてくる・というものだ▼良い製品で、しかも破格のジーンズが流通に乗れる秘密の一端が、そこにあるようだ。先進国の市場に並び、商戦の目玉になっているジーンズなどの商品は、実はその日の食にもありつけない人達の、苦しい日々の生活に支えられているのかも知れない▼「私も、アジアの某国で従業員を募集したことがありますが、会場に行って、あまりにも多い人達が集まっているのを見て、圧倒されて募集作業を中止したくらいです。日本では考えられないことですが、これが実情なんです」と、話してくれた。