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デスク記事

2009/05/28

 国民が餓死線上にいても軍備を優先する北朝鮮。国際的な孤立を承知で核実験を強行した。国連決議を無視し、6カ国協議への参加も拒否。実用可能な核とミサイルを、軍事的にも交渉に於いても最大の武器にしている現在の北朝鮮には、強い制裁も効き目はない▼事態は、2006年の国連決議以降、最大の危機を迎えたと言える。北朝鮮は今までの瀬戸際外交からも逸脱し、もっと危険な方向に走り出した。この国に理論や常識が通用しなくなった今、国際社会の深刻さは増す▼「要求通りにしなければ宣戦布告とみなす。核攻撃も辞さない」では、国際社会は打つ手がない。一切を拒否して強硬路線、孤立への道を歩む北朝鮮は、特に隣国である日本、韓国などには最大の脅威になっている。これに対して国連をはじめ米、露、中国、日本、韓国が持つ有効な手段は、現状では見あたらない▼識者は「最終的には、米国と北朝鮮との直接対話しかない」と言う。しかし米国は北≠フ身勝手な要求を受け入れるわけには行かない。従って、直接対話は当分実現できない状況にある。北朝鮮もまた自らを追いつめ、今は暴発ギリギリの段階に達したと思われる。金正日総書記の健康状態、後継者問題もからみ、特に日本など北東アジアの核とミサイルの脅威は深刻の度を深めている▼「有り得ない」と思っていることが起きる可能性も否定すべきでない。国民の生命と安全を守るためにはどうするか、具体策を見つけることは、残念ながら日本には荷が重すぎる。戦後、アメリカの核の傘に守られてきた日本は、自らの手で暴力≠ノ対応することが出来ない。自殺覚悟で国際社会に向かう相手に対し、日本はどう対応するのか。今こそ厳しく試される時だ。