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日本全体の景気は「下げ止まりつつある」という。日銀がこんな調査報告をまとめた。昨年秋以来100年に1度の大不況≠ニいう、底なしの不況から、世界は立ち上がり始め、日本も経済を持ち直そうとしている。ただ国内9地域のうち、北海道だけが「低迷している」という結果だ▼全国一景気回復の遅れている地域ということになるが、それでも日銀札幌支店長の今後の見通しは「財政支出の効果は大きい」と言う。公共事業の請負金額が11年ぶりにプラスに転じた。効果が現れるのを期待したい▼この調査で注目されることが、もうひとつある。「国民の消費スタイルが変わってきた」ということ。「少ない予算で効果的な満足感を得ようとする傾向」だという。具体例として「行楽地などへの弁当持参」「自転車や家庭菜園が普及してきた」などをあげている▼お金の使い方を吟味し、出来るだけ無駄を省くことに神経を配っているようだ。しかしそれは本来在るべき姿。お金は大切に使うべきで、神武景気とか岩戸景気、いざなぎ景気などと、経済が右肩上がりの時は消費は美徳≠ニも言われ、バブルの時期は狂乱物価という言葉も生まれた▼今の経済低迷の時代は、ある意味で人間らしい生き方が出来る時代かも知れない。確かに、今までの成長路線に乗って経済活動を進めてきた日本人、特に企業にとっては、ブレーキの掛け方が難しい。しかし、それをクリアーし、次のステップを踏むのが今の時期と言えそうだ▼上ばかり向いて突っ走ってきた過去の時代。倫理観の欠如、または自己本位の精神から、個人も企業も、国家も、他を否定し続け、破綻してきた。現在は過去と未来の大切な接点。次の良き時代に向けて、心を引き締めることが先ず必要だ。