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デスク記事

2009/08/12

 数年前、アメリカの某地方空港に降りたとき、空港敷地内の草むらで、多くの一般人が何やら探しながら歩き回っているのを見た。「あの方たちは何をしているのですか」と、現地の方に質問すると「きのこを探して居るのですよ。マジックマッシュルームと言って、幻覚作用のあるきのこです。ハイ、法では規制されていませんから」と言う▼特に若者の間で精神が高揚される≠ニ珍重され、アメリカ社会には深く浸透しているそうだ。日本でもこれと似たキノコが自生し、10年ほど前に、口にした人が緊急入院したことで、非合法となったことがある。アメリカは州によって異なるらしいが、禁止になっても、取り締まりなどはあまり厳しくないようだ。幻覚、鮮明な色彩感、皮膚感覚の鋭敏化などの作用があり、それを逆に利用して、非日常性の感覚に陥ることを楽しんでいるという▼日本でも薬物の犯罪が後を絶たない。大学生が自宅で大麻を栽培したり、芸能人の間でも次々に事件化されている。海外からの持ち込みも多く、薬物は日本社会に深く浸透しているようだ。なぜ、人体に重大な影響のある覚醒剤や麻薬がはびこるのだろうか▼女優の酒井法子が覚醒剤取締法違反で逮捕された。「まさか」と驚いた人は多いだろう。ファンは国内のみならず、中国や韓国でも日本を代表する女優として人気が高い。手を出せば、全ての栄光が失われるのを知りながら、それでも取り込まれるという、魔性の囁(ささや)きに魂が吸い込まれた▼眠くならなかったり頭が冴えるなど、特性を利用したくなる人も多いだろう。しかしそれと同時に身体が壊れ、社会が乱れてゆく。麻薬は闇からの声。そして転落への入り口なのだ。