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デスク記事

2009/08/19

 夕方、我が家に近い公園を歩いていた。往復約2千歩。少しは運動になると思い、時々そうしている。母親と少年が遊んでいて、少年は母親と少し離れて自転車を楽しんでいた。少年は私の姿を見つけると、自転車をそのままにして「変なおじさんが、来る」と母親の元に走った▼母親が私に「済みません、失礼なことを言って…」と頭を下げて謝ったが、私は「いいえ、そのくらい用心した方がいいですよ」と答え、少年を見た。その子は母親に何か言われたようで、バツ悪そうにして私を見ていた。私が手を振ると、その子はかすかに笑ってくれた▼改めて我が姿を見ると、黒のトレーニングウエアーに帽子。黒のズボンという全身黒づくめ。これなら「変なおじさん」と思われても仕方ないと、思わず苦笑してしまった。それからは、着るものの配色にも注意することにした▼私の少年時代は、大人を疑ったりはしなかった。それより、近所に子供が多かったし、毎日色々な遊びをして、夕飯を忘れるほど真っ黒になって走り回った。暗くなった帰り道も、何もこわいことはなかった。そんな意識さえなかった時代だ▼現在の世相は、当時とは全く異なっている。雨が降って、濡れながら歩いている人が居ても、声をかけることをためらってしまう。学校から一人で帰る小学生に「車に気をつけてネ」と声をかければ、一瞬その子は身を引くかも知れない。そんなことを考えると、要らぬ心配をさせない方が良いとも思ってしまう▼子供は、社会全体が育てるもの。それが大人の責任だし、それが豊かなコミュニケーション社会を作る。それを素直に発揮できない社会が、今の社会である。いつの間にか、どこかゆがんでしまっている。時間をかけて修正するしかない。