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日本列島の空気が張りつめている。それも、今までは慣れっこになり、ただ事務的な時間が通りすぎてゆくだけだった「政治体制」について、これ程国民の耳目が集中している時は、戦後政治にはなかった。そして世界各国もまた、大きく変わろうとしている日本に、真剣な眼差しを注いでいる▼新政権が実行しようとしている諸政策は、良くも悪くも従来とは全く異なる。ある意味では日本の行政組織の抜本的な改革と言えよう。国民の政治不信、政治との遊離、経済大国と言われながら、納得の行かない実生活。それらが不透明の中で行われてきた▼それが新政権の誕生で、政治が国民の手の届く所にグンと近づいた。今回の衆議選の結果は、国民の意識の集積ととらえる事が出来る。長期政権の自民党は、無意識のうちに「体制」にあぐらをかき、それを是としてきた。そこから発生する政治のウミ≠、新体制で絞り出すことを国民は求めたのだ▼民主を中心とする新体制には、厚く、高い壁が立ちふさがる。今までの政治手法から脱し、新たな体制を構築するという、従来の2倍も3倍ものエネルギーを必要とする大事業のスタート台に立ったのだ。改革には時間がかかることを、国民は理解しなければならない▼日本が生まれ変われる、最後のチャンスと捉えたい。世界に向けて「日本はこういう国家を形成してゆく」と、確固たる国の姿勢を示して欲しい。そして、平和な世界を築くため世界が在るべき姿≠日本が先導すべきだろう。そういう国になることが、日本を守り、世界に貢献する道ではないだろうか。国民が創出した新政権でもある。今こそ日本人の知恵を世界に示す時だ。未来の日本の姿図を、日本全体の大きな視野に立って描いて欲しい。