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デスク記事

2009/10/02

 周辺に居る野鳥の中で、カラスは嫌われる部類に入るだろう。黒い色が何となく不吉な印象を与えるのか、繁殖期などは、近くを通る人間を威嚇するなど、危険を感じさせる大型の鳥だからか。しかし鳥類の中で最も進化し、高い知恵を持っている鳥としても知られている▼そのために、時々人間の裏をかく行動に出る。ゴミ袋が荒らされて、中身が周辺に散乱したり、折角蒔いた種がほじくり返されたり、殆どの人はカラスの被害に遭ったことがあるだろう。カラスに意地悪をした人は、服装や体型など覚えられていて、後で仕返しをされるという。頭がいいだけに、なかなか手強い相手だ▼神話の世界では、カラスは太陽と音楽の神・アポロンの使いとして忠実に働いている。また太陽の化身とも言われ、本来は黄金に輝く鳥なのだが、ある時太陽に近づきすぎて羽を焼かれ黒くなったそうだ。利口でもあるが反面ドジな面もあるようで、こんな話は少しホッとする▼先日、こんな珍しい光景を目にした。向かいの家の屋根の頂上で休んでいたカラスが、何のハズミか脚を踏み外し、急な斜面を滑り落ちた。脚を踏ん張っても、滑るため飛び上がることが出来ない。羽をバタつかせて焦っている様子が良く分かる。カラスは真剣なのだろうが、そんなヘマをするカラスが、とても滑稽(こっけい)に見えた▼その後が面白い。しばらくしてまた屋根に戻ってきたが、失敗したことがショックだったためか、屋根に止まるかどうか迷っている。不規則に羽を動かせ、屋根の上を上がったり下がったり。ようやく意を決して止まったが、動きがぎこちない。またあの、ユーモラスな落ちる場面を期待したが、そこまでドジではなかった。カラスもなかなか可愛いところがあるようだ。