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デスク記事

2009/10/10

 乗るなら紋別−羽田便。地元びいきで言うわけではないが、今まで利用した国内線では好感度ナンバー・ワンである。先ず、客室乗務員の接客が抜群。126人乗りという中型機で、乗客数が少ない面もあるだろうが、客との会話が多く、それも通常の平易な言葉を使い、笑顔で接してくれる。ローカル線の良さみたいなものを感じる▼私は窓際の席が好きだ。天気の良い日は機内地図と地上とを見比べながら、眼下に展開する都市や湖、山岳地帯などを確認する。季節によって地上の光景は千変万化。東京−千葉−福島−山形−八戸−大雪山−紋別。緑の森林から次第に色づく山肌。季節の移ろいが見事に展開する。条件が良ければ羽田を飛び立つとき、左後方に富士山がクッキリ見える▼人の気配がして目を転じると、客室乗務員が笑顔で立っていて「お客さまは景色を見るのがお好きなんですね」と言い、「今日は天気がいいので、下北半島の恐山も良く見えますよ」など話しかけてくれる▼飲み物のサービスも丁寧だ。何回か回ってきて「コーヒー、もう一杯いかがですか」「別な新聞をお持ち致しましょうか」と、声をかけてくれる。多くの場合、客室乗務員と乗客の間には距離があるものだ。それはそれで良いのだが、紋別−羽田便にはどこか親しみがある。それは快適な空の旅に重要な要素ではないだろうか▼客の様子も他とは違っている。流氷の時期など、全員が窓から眺め、歓声をあげる。夏期でも「きれいなマチだねえ」「あっ、漁船があんなにたくさん」と、機内には常にたくさんの表情があり、空気が動いている。ユトリが生む心の通じ合う接客、そして新鮮な窓外の景色。癒(いや)しさえ感じる路線である。皆様、どうぞこの便へ。