デスク記事
ある日の大山山頂園。「落ち葉を集めてるんだよ」と、小学2年生くらいの男の子と、幼稚園生くらいの女の子が私に笑顔で、手にしたたくさんの落ち葉を見せてくれた。少し離れた所で、母親が柔らかな表情で子供達の仕草を見守っていた▼何の変哲もない親子の姿だが、枝を鳴らしながら、冷気を伴って吹いてくる風、やがて没しようとしている太陽、高く、スジ状に流れる雲、それら周囲の環境に、親子3人が同化しているように感じられた。静かな午後のひととき、ユッタリとした時間が過ぎていった▼オホーツク森林公園の東屋で、2人の若者が小さな笑い声を発しながら、語らっていた。聞くと2人は横浜の人で、連休を利用してオホーツク地域を旅しているのだと言う。「付き合っているけれど、結婚は別の話」と、いかにも今の若者らしい。市内で買ってきた弁当を食べながら「こんな静かな時間、ただここに居るだけでいいのです」と笑顔を向けてくれた▼森林認証・日本一の紋別市は「水産のマチ」であり「森のマチ」でもある。美しく、豊かな森林資源がオホーツクの環境を守り、水産資源を守り、育てている。海と森に囲まれた、日本一自然豊かな地域なのだ。そして人もまたここで生かされている▼山頂園の親子は、落ち葉を集めながら親子の温かさを育んでいる。公園の若い男女も、これから何回こんなユッタリとした時間を持てるのか。これが、あるいは過去のひと時の旅になったとしても、若い日の人生の一ページであることは間違いない▼この親子と若者に共通していること。それは大きな自然の中で、きれいな空気を胸いっぱい吸い、心を和ませ、互いの存在を、無意識にも心の中に大切にしまい込んでいることなのだ。自然からの贈りものか。