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米国・サウスウエスト航空は長年、全米の顧客満足度でナンバー1を維持し続けている。他社の半分の低料金、時間厳守などの高品質、高サービスを徹底し、高い業績(全米一位)を続けている。客が望むことと望まないことは何かを調べ、顧客の声をサービス面に生かしている▼中・短距離の顧客には機内食を廃し、航空チケットも番号制にし、乗降時の混乱を避けるため、座席の予約を廃し全席自由にした。その分低料金、時間厳守、便数の増加につなげたなど、常識に捕らわれない合理化を実施。これが歓迎されている▼日航が政府の管理下で再建されることになった。政府は再建作業部会の案を事実上棚上げし、巨額の債務、つなぎ融資など政府丸抱え的な再建案だ。日航が危機意識なく、安易な経営を続けてきたツケを、政府、つまり国民が背負うことになる▼日航がいくら公的意味を持つ企業だとしても、国民の目には多額な企業年金の据え置き(現段階では)など、企業側の無節操振りが非常識と映る。「政府のテコ入れがなければ日航は年を越せない」と言う言い訳も、国内の中小企業にとっては「年を越せないのは我々も同じ。しかも黒字倒産をする時代。対応があまりにも違いすぎる」という意見が出るのも当然だ▼年間3万人の自殺者の多くは、時代的な経済不況に耐えられなくなった企業経営者、従業員だ。銀行の貸し渋り、貸し剥がしに苦しむ企業。それでも血のにじむように支払う各種の税、従業員への給料。その税金が、内容の説明がないまま日航再建に注ぎ込まれる。「強制的な企業年金の減額は憲法違反になる」と言うのであれば、それを自覚しない日航への支援は凍結すべきが当然。どうしたのだ政府。国民は決して納得出来ないだろう。