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デスク記事

2009/11/04

 「さあ、一服しようか」という言葉。ひと仕事を終えた後の、ホッとした和やかな雰囲気を感じさせる。この一服≠ヘタバコをも意味する言葉で、仕事の合間の小休止にプカリと楽しむことを表現している▼ここ約十年、喫煙者には厳しい制度が次々に出現している。特に公共の場での規制は急に厳しくなってきた。喫煙者に言わせれば「車も急に止まれないなら、タバコだって急に止められないのです。社会の決めごとに従おうとしても、止めるにも時間が必要。喫煙者の立場も考えて欲しい」と言う▼今の社会で喫煙者は隅に追いやられている。空港でも駅でも、喫煙者は肩身の狭い思いをしながら、隠れキリシタンのようにアクリルの囲いの中で固まっている。非喫煙者を煙から守るための方策は理解できるが、喫煙者を悪者扱いにしているのは如何なものか▼その反面、政府はたばこの大幅な増税を模索している。理由は「環境、身体に悪いから」だと言う。身体に悪いことを、増税で止めさせようとする理由はあまりにも見え透いている。「習慣性のあるタバコは急には止められない。税収が増えるだろう」と言うのが本音だ▼財源に悩む紋別市の台所にも、タバコ税として昨年度は2億3千万円が入っている。喫煙者に頼るところは大きい。増税になれば、さらに収入が増える。一方の顔でタバコは公害≠ニ言いながら、もう一方の顔で「予算が増える」と、期待しているのが現実だ▼喫煙者は非喫煙者への気配りをしなければならない。しかし非喫煙者が、喫煙者に顔をしかめるのは礼儀に欠けるのではないか。互いが互いの事情を斟酌(しんしゃく)し、思いやりの心を持つことが必要なのではないだろうか。否定するだけでは世の中に笑顔はなくなる。