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デスク記事

2009/11/07

 今年、大リーグのイチロー選手が9年連続200安打の大記録を樹立。ヤンキースの松井選手がワールドシリーズで日本人初のMVPを受賞した。明るいニュースの少ない中、この快挙は日本列島をかけめぐった▼松井選手は昨年、今年とケガに悩まされ、シーズン中はメンバーから外れることもたびたび。契約期限の切れる今年、最終最大のワールドシリーズで感動的な活躍を見せた。特にヤンキースを優勝に導いた第6戦は、ホームランを含む6打点。まさに松井デーだった▼イチロー選手と松井選手に共通するものは何だろう。それは、頂点に立つ者だけが有している「運命」ではないだろうか。確かに実力のある2人だが、追いつめられた時の奇跡的な爆発力、そして結果を残す神懸かり的な強運。それは野球技術を超えた所に在る何か≠ナはないだろうか▼そしてもう一つの共通点。それは「人格」だと思う。存在そのものから発せられる魅力、それを「オーラ」と言うのであろうか。それはどこで形成されたものなのか。人間の素養にプラスして、野球人として努力してきた過程から醸成(じょうせい)されたものだろうか。ケガをして戦線を離脱したことさえも、超一流への土壌になっていると思われる▼松井選手に関しては、来シーズンもヤンキースにいられるかどうか、それは今後決まることだ。しかし、万が一契約が切れたとしても、松井選手は契約最終年の最高の舞台で、最高の賞に輝き、大リーグの歴史に永遠に名を刻んだ▼何という幸運で、幸せな男であろう。自分でつかんだ栄誉とは言え、彼は人生の栄誉も得たと言っても過言ではない。そして何よりも、全世界の野球ファンのみならず、日本人の心に「誇りとは何か」を、教えてくれた。感謝したい。