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「金」という、金属の頂点に位置する夢多き物質が、紋別の地下に眠っている。鴻之舞金山の採掘が終わっても、紋別が未だに北の黄金郷であることが、市立博物館で開かれている「大砂金展」で改めて浮き彫りされている▼紋別大谷学園が40周年記念事業で行ったもので、同学園の橘有三専務が、自分の趣味を活かして開催した。夏の「化石展」と、今回の砂金展で。遙か過ぎ去った、彼方の時代から今日まで、地球の時間を身にまとった化石群と、岩石にかすかに含まれる金。物言わぬ物質から、時代を越えて伝わってくる伝言とは何か▼講座と講演が、来年1月まで4回に渡って予定されている。その1、2回が終了したが、国立博物館の松原博士は砂の中に見られる鉱物物質について講演した。その中で「砂金はとても小さいので発見しにくいですが、金のことを認識しなければ、そこに有っても見えません」と、鉱物に寄せる心がなけれ見えないと言う話は、印象的だった。橘氏は、紋別が東洋一の金のマチだったこと、八十士の砂金について講演したが、参加した子供達に、紋別が黄金のマチであること、そしてそのことに誇りを持ち、郷土を見直そうと呼びかけた▼金には人間の憧れがある。人類の文化史上でも、金は特別な存在だった。金をめぐっての戦いもあったし、人々の生活を豊かにし、文化を育ててきた。まさに歴史の主役でもある。その金を、アジアで一番多く産出したのが紋別なのだ。そして、鴻之舞を中心に、金はまだまだ眠っているのである▼講演に参加していた大人と子供は、それぞれが紋別の輝かしい歴史を再認識し、夢多き郷土であることをも知った。砂金展は1月24日まで開かれている。一度会場に足を運んではいかがでしょうか。