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首相に就任直後、国連で目を輝かせて演説した鳩山首相と、24日偽装献金問題で虚(うつ)ろな視線で記者会見した鳩山首相とでは、天と地の違いがあった。政権発足から100日、僅かこれだけの日数で、鳩山首相は転落への坂を転げ始めた▼かつて、自民党派閥の領袖を中心に行われた多額の資金集め。それが政治力と言われた。金を握った人物がのし上がる構図があったが、それも今では過去のもの。真っ当な政治こそ国民に支持され、それこそが政治力≠フ時代に入った。そして政権交代に繋がった▼それが、新政権のスタートと同時に過去の遺物が顔を出した。しかも首相と党の幹事長。共に政治と金をめぐる問題を抱える異常事態だ。今回の政権交代は、国民による新しい日本への政治運動でもあり、その思いを鳩山政権は担っている。だからこそ国民の落胆は大きい▼「私腹を肥やしたり、不正の利益を得た思いは一切ない」と、他の国会議員と比較して、野党時代に「政治家と秘書は同罪」などと発言してきたことを弁明したが、元公設秘書が偽装献金で在宅基礎された事実はいかんともし難い。立場を変えれば、こうも詭弁を弄せるのか▼許せないのは「首相の職をかじりついてでもやりたい思いはない」「辞任を求める声が高まれば、国民の声を尊重したい」と述べたことだ。信念をもって、この国をリードして行こうと決心したのではなかったのか。貴方の政治家としての理想は、かくも脆(もろ)いものなのか。世界の中の日本のために、今度こそブレ≠クに、強力なリーダーシップを発揮すべきでないのか。与党内に、ポスト鳩山を狙う連中は、あるいは心の中で何かを計算しているかも知れない。それこそ暗黒政治である。