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小沢一郎氏の私設秘書だった石川知裕衆議院議員。小沢衆議のもとでコマネズミの如く走り回っていた。小沢氏が毎年開催する経済フォーラムや支援団体との会合など、すべて取り仕切り、参加者に如才なく、素早い頭の切り替えで対応していた。私は小沢氏と政治を話し合う、小さな団体に属しているが、そこで石川衆議を知った▼数年の間に、彼とは政治に関することなどで意見を交わしたし、小沢氏のインタビューの取り付けなど、随分世話になった。石川氏は常に親切に、そして素早く、最大の礼をもって接してくれた。それは彼の人間性から来るものだったし、小沢氏のためになることなら、身を削って最大の努力をする律義さから来るものだった▼その石川氏が逮捕された。まだ36歳という若さである。地元十勝だけでなく北海道にとっても希望を託せる衆議。爽やかで、誠意あふれる人物である。小沢氏の信頼を一身に受ける秘書という立場とは言え、今回その渦中に巻き込まれ、ある意味で犠牲になったとも言える▼連日の検察の取り調べは、石川氏にとっては格別につらいものだろう。海千山千のしたたかさを持ち合わせていれば心の調整も出来るだろうが、石川知裕という人は、決してそういう種類の人ではない。真実を述べることしか知らない人。心ならずも嘘をつけば、きっと良心にさいなまれて苦しむことだろう▼石川氏からの電話に父親は最後こう言った。「知裕、死ぬなよ」と。息子の気性を一番よく知っている父親だからこそ、そう言ったのだろう。石川氏には、この試練を乗り越えて戴きたい。「今」だけを見ず、まだまだ先の長い人生を思い描いて欲しい。石川知裕氏の政治家人生は、今始まったばかりなのだ。