デスク記事
「こんにちは」という声に振り返ると、少し離れた所から笑顔の女の子が私の方に歩きながら声をかけてくれたのである。名寄からの帰り、西興部の「林夢」に寄り、車に乗り込もうとした時だった。私も「こんにちは」と返事をし「挨拶してくれてありがとう。挨拶は学校で教わったの?」と聞くと、その子は首を横に振って「初めての人だと思ったから、あいさつをしたの」と、また笑顔。西興部小学校の一年生だという▼いろいろな事件事故が起きる昨今、大人は子供の安全のため、声をかけてあげよう∞見守ってあげよう≠ニ言われるが、声をかければ警戒され、多くの親は知らない人に声をかけられたら近寄らないんだよ≠ニ教えているだろう▼それも当然のこと。そして子供たちが出来ることと言えば、せいぜい警戒する事くらいだろう。しかしいざ≠ニなれば、とても抵抗などできない子供たち。矢張り大人全体で見守ってあげることが必要だ。そうは思っても、声をかけること、近寄ることの難しさも、大人たちは感じている▼子供と大人の距離がますます離れてしまう今の社会状況。それがさらに犯罪を生み易い状況を作っている。子供が安心なのは家の中だけ。一歩外に出れば、親は帰って来るまで心配し、子供は警戒感で体を固くする。何と情けない時代なのか。それでも大人は目と心を配らなければならない▼「こんにちは」と、笑顔で声をかけられたことが、ある種の驚きだったし、とても嬉しかった。声をかけられなかったら、いつものようにスレ違うだけだった。私もいつの間にか無言の大人≠ノなっていたことを、その子に教えられた。「元気で大きくなるんだよ」と言うと「ハイ」と、手を振りながら元気な声が返ってきた。