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デスク記事

2010/01/31

 「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからだよ」。20世紀初頭のフランスの小説家・サンテクジュベリの言葉である。日本は今、世界の潮流の中で決して伸長している国ではない。高度成長を成し遂げた国の、ある種の宿命でもあろう▼その中で北海道の産業・経済の状況は、他の都府県に比べかなり下にある。東京を中心にして南北に、順番に状況が悪くなっているようだ。そしてその北海道でも札幌以外の市町村、特に道東・北地域の落ち込みは顕著だ▼さらにオホーツク。自然環境的には理想郷と言えるが、産業・経済は総体的に見て元気がない。我が西紋地域も例外ではないと言える。しかし、漠然ではあっても、どこか明日への期待が隠されているような気がする。それは豊かな海と大地のせいではないだろうか▼もう少し言えば、開拓し尽くされた場所と、そうでない地域の違いといえよう。西紋地域は、水産資源の高次加工、さらなる付加価値の創出はまだまだ期待が持てる。農業分野においては、未利用地も多く、地球の温暖化も含めて今後の成長が大いに期待されている。かつて道産米が日本を代表する優秀米になることなど、想像も出来なかった。オホーツクでもやがて米作が盛んになるかも知れない▼オホーツク地域は決して砂漠≠ナはないが、間違いなく美しい地域≠ナある。そしてこの地域には「井戸」がたくさん隠されている気がする。私たちは、開発途上国の必死の国作りから見れば、まだまだユトリがある。しかしそのユトリが取り返しのつかない状況を作る。この美しい西紋地域。少子高齢化、過疎化の問題を抱えつつも、井戸を探し、掘り当てるのは今ではないだろうか。この地域は、まだ本気を出していない気がする。