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デスク記事

2010/03/18

 追い風の海と、向かい風の荒海に出航した2隻の船。しかし追い風を受けながら、船長と航海士、それに乗組員の中にも金銭的な問題を起こす人が出るなど、乗組員の行動に一貫性がなく、迷走を続ける「民主党」という船。この機に乗じて、離された距離を縮め、あわよくば追い越そうと追走する「自民党」という船。しかし船長に人望が薄く、責任ある立場の乗組員も離反し始め、追いつくどころか、船体にキシミ音がする▼国民という乗客は、最初は追い風の船に大きな期待を寄せ、今度こそは乗り心地の良い、明るい希望に向けて航海できると信じた。しかしそれが幻想であることに気づいた。操船技術に不慣れな乗組員。八方美人の船長は、すでに実力不足が露呈してしまい、乗組員にも乗客に信用のない、ボスめいた人物がニラミを効かせる▼追走する船も、一時は少し距離をつめたかに見えたが、荒波に抵抗する馬力はなく、航海を続けられるかどうか、危うい状況になってきた。今まで「自民党」という安定した船に乗っていて、好きなようにふるまっていた人物が、恩を仇で返すように、船体放棄する▼自分を坂本龍馬に例え、新たな船を建造しようとしている不可思議で、怪しげな男。思わぬところで名前を出された坂本龍馬こそ気の毒だ。今こそ自民党は、船体を補修しながら、波をかぶってズブ濡れになりながら、懸命になって船体を立て直す時ではないか。その姿こそ、奇跡を起こす原動力だ▼追い風は終わった。しかし荒海はさらに荒くなった。それぞれ、体制を立て直すのはかなり難しい。なぜなら、この2隻の船の乗客の心はすでに離れつつあるのだ。しかし乗り移る船も見あたらない。こうなれば、まったく形の違う船を乗客だけで建造する道もありそうだ。