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デスク記事

2010/03/27

 昨年秋に開かれた読売新聞者主催のフォーラムで、高橋知事は「北海道には、世の中が求めているもの全てがある」と誇らしげに語った。つまり人類がこれからさらに不足する食糧、水、環境の三点セットが、北海道には豊富にあるという自信だ▼人間が生きるための最低のベースとなる、この3点セットが、世界は勿論、日本自体も悩みの種だ。食糧自給率は約40パーセント。豊かであるはずの水も、日本列島の形状から水が国土内に貯蓄されにくい。また、環境の悪化は今後さらに助長されそうだ▼北海道は他の都・府県に比べ、食糧自給率は200パーセント。一次産業部門で圧倒的な優位を保っている。水は、北海道の代名詞である雪と氷が天然の貯蔵基地であり、もちろん環境は世界に冠(かん)たるものがある▼それなのに、何故経済面、道民の消費生活などで日本の下位に甘んじているのか。それは端的に言って、北海道に独自性が不足しているためと言われている。行政に、北海道を活かす知恵が不足していることと、道民に「自立」意識が欠けているという指摘である▼スコットランドという国。北海道と同じ面積、人口を持つ。11年前に議院内閣制の政府が誕生した。それまで英国の政策に翻弄され、地方切り捨ての波に巻き込まれ、経済は疲弊した。この苦しみが国民の心に自立≠ヨの機運を高めた▼北海油田など地下資源、さらにIT産業の発達など、スコットランドは順調な成長を遂げている。逆境からの自立・反骨精神が、その推進エネルギーになっているという。北海道も、そろそろ自立への強い意志を持つ必要があるのではないか。松下幸之助氏はかつて「北海道が独立国家だったら、もっと偉大な発展をしていた」と語っている。