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韓国の若者のほとんどは、北朝鮮に対して軍事的な脅威を感じていないと言う。南・北が38度線を境に、未だに休戦状態であることも、いつの間にか忘れ去られている感があるという。今年3月、私が韓国に行った時、有識者からの嘆きの言葉として聞いた▼韓国軍の哨戒艦の沈没原因が北朝鮮潜水艦の魚雷攻撃によるものと断定された。両国の関係は一気に緊張の度合いを深め、一触即発、軍事衝突の危機に陥っていると言える。現在の状況が非常に危険なものであることは、いくら能天気な若者でも感じ取っているだろう▼来日したアメリカのクリントン国務長官は、北朝鮮の軍事的脅威に対して日米韓の連携で対応することを求めている。今回の哨戒鑑沈没事件に対し、日本政府も自国への脅威ととらえているだろう。特にアメリカ政府の受け取り方には緊急性が感じられる。つまり韓国も日本も、同じ脅威にさらされているという理解だ▼アメリカの最新鋭兵器が沖縄に集結しつつある。対潜水艦への合同訓練も計画されるなど、朝鮮半島をめぐる軍事的環境は緊張の度を深めている。そして普天間移設問題も、この朝鮮半島の緊急事態に影響されている▼政府は「辺野古」で日米が合意したことを表明した。しかしこれは何も新しいことではない。辺野古は前政権が10年以上の歳月を重ねてアメリカと合意した現行案なのだ。鳩山政権は、沖縄の人達に脱米軍基地≠フ希望を与え、そして裏切ろうとしている。実現しない夢なら、初めから見ない方が良いのだ。普天間基地問題は、日米間の問題から一転して、朝鮮半島事情を含めたアジア全体に広がってきた。しかも何かが起こりそうな、緊迫した状況にある。