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「寒いですねえ」が挨拶用語になり、春の実感が乏しかった北海道、そしてオホーツク。それを一気に取り返すような23日の晴天。気温も20度近くまで上昇し、春爛漫(はるらんまん)の一日となった。紋別公園の桜も満開で、市民は「ようやく春が実感出来た」と、心を晴らしたようだ▼花の苗や農作業用品などを販売する市内の大手企業の話では「朝早くから多くのお客さんがいらっしゃいました。家庭菜園や花壇の整備など、日曜日は多くの方が太陽の下で作業に汗を流したのでは」と言う▼半年を雪と氷と共存する私たちにとって春は格別の意味がある。冬の厳しさを耐え、雪解けと共に一気に生命を爆発させる樹木や花と同じように、人もまた春の訪れに歓喜する。「冬こそ北海道」とは言え、冬という厳しい季節を経た後に訪れる色彩豊かな春は、この地域に住む人達だけに贈られるご褒美かもしれない▼今度は「ようやく温かくなりましたねえ」「今まであまりにも寒すぎました。この温かさは嬉しいですね」などが挨拶用語になった。そう言う人達の顔には、みんな笑顔が浮かんでいる。自然という、人智を越えた絶対的な存在に対して、人は畏敬(いけい)の念を抱きつつも、人もまた自然を構成する一分子に過ぎないことを自覚する▼滝上の芝ざくらや上湧別のチューリップも最盛期を迎えた。23日は家族連れなどで賑やかになり、春爛漫を満喫したようだ。色彩感に乏しかった冬と、とりわけ華やかで美しい今の時期、その鮮烈なコントラストも我がオホーツクなのだ。