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北海道の自動車事故を他都府県に比べると、死亡、重傷患者の割合が多い。それは速度を出せる道路環境があるためと言われている。直線も多く、スピードを出し易い。それは本州地域で車を運転すると、如何に北海道の道路が快適で、走りやすいか分かる▼それが落とし穴のようだ。高速道路で制限速度で走っていれば間違いなく追い抜かれる。一般車に限らず、観光客などを乗せた大型バスでさえ、速度を上げて追い抜いてゆく。制限速度で走っている方が、他の車の迷惑になるような気がする▼「高速」という名に、ドライバーは弱いのではないだろうか。スピードを上げないと損をしたような気分になってしまい、雨などの時は100キロ制限が70キロ制限になったりするが、そんなことはお構いなしの車が多い▼アメリカ・ユタ州で、日本人観光客を乗せたバスが道路をそれて横転し、3人が死亡し12人が重軽傷を負った。私はその道路を4年前に、チャーターしたバスで走った。国道15号線。アメリカ合衆国の北から南のサンディエゴまで貫く、快適なハイウエイである▼その時はスレ違う車は少なく、幅の広い快適な道を、バスはかなりのスピードで走っていた。それでも遅く感じるくらいだった。今回の事故現場・シーダーシティー近辺の道も、記憶に残っている。とにかく直線が長く続き、どの車もスピードをあげて走っていた▼事故が起きそうもない、開放された見通しの良い道。それが事故を呼ぶのだろうか。人間の感性は、時として錯覚を生み、それが重大な結果をもたらす。車の破損状況から察して、スピードが出ていたのは疑いもない。北海道の事故と今回の事故が、オーバーラップしてくる。スピードこそ、気をつけるべき重要な要素だ。