デスク記事
「インディアン、嘘つかない」という言葉がある。アメリカ西部開拓の歴史で、元々平和に暮らしていた原住民を、白人が甘い言葉で騙(だま)し、力で土地などを強奪してゆくことがあった。それを映画化した中で、インディアンが「白人は嘘つき、インディアン嘘つかない」が出てきた▼米国・アラスカ州には、先住民である多くのイヌイット(エスキモー)が住んでいる。独特の文化を継承し、狩猟の仕方などは数千年前と同じ方法で行っている場合も多い。川に上がるサケなども網を使わず、その日の食用に足りるだけ捕獲する方法をとっている。クジラ漁も、柳の枝で型取った船体にアザラシの皮を張り付けた、小さなボート(ウミアック)で海にこぎ出す。手製のモリをクジラに打ち込み捕獲するという、昔ながらのものだ▼時代が進み、人類は近代化という中で常に頭をめぐらし、他より一歩先を行く方法を考えるようになった。そこに競争の原理が深く介在し、他を排斥(はいせき)する傾向が強くなった。言葉が行き交い、そこに嘘が生まれる一つの原因が生まれた▼紋別市役所の係長が2つの異なった部署で公金を私的に流用し、民間団体にも迷惑をかけた。市役所のチェック体制の甘さを暴露する結果にもなった。なぜチェック体制が甘くなったのか。市は「事なかれ主義、馴れ合いが災いした」と説明し、民間団体も「市の職員は不正をしない」と信用していた▼市職員よ、公僕の原点に帰れ。市民への奉仕を仕事の中心に置かず仲間意識が先行すれば、それは自らが不正を見逃す罪≠犯すことになる。何が大切か考えよ。小利口な白人にならず、腰を落ち着けて日々を送る、インディアンに学ぶ心を持つ必要がある。