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嵐の中を、乗客を乗せた船が航行している。この荒波を乗り越えるには、乗組員、乗客が協力し合って、さらにいつもより強い団結で、信じる航路をまっしぐらに進まなければならない。それが出来ないとき船は海に沈む▼その船が嵐の中で立ち往生している。波は益々高くなり、船は今にも沈没しそうだ。しかし、それでも船は進まない。何故か、乗組員がいがみ合い、その結果次々に交代する船長。勝手気ままな論理が飛び交い、操船は定まらない。またまたゾンビのように蘇(よみがえ)る船長候補。それらがウズを巻き、船内を乱す▼これで乗客に向かって「冷静になって、乗組員を信じてくれ」と言えるのだろうか。否、もはや乗客のことなんか眼中にない混乱ぶり。乗客と乗組員の信頼関係は崩れ去ろうとしている。船が沈んでも、船内で権力争いを続けることだろう▼しかし悲しいかな、乗客はこの船に乗り続けるしかない。以前は最新鋭の機能を誇ったこの船だが、ここ20年ほど整備を怠ってきた。乗客は船長や乗組員に任せっきりで、船に対して自己が成すべきことを忘れてきた。乗組員はいつまでも、この船が高性能なままであると思ってきた▼気がつけば、実力に見合わない贅沢三昧を繰り返し、資金が底をつけば借金を積み重ね、さらに反省なき生活を続けてきた。乗客は、それをこの船の恩恵と信じ、享受(きょうじゅ)してきた。いつの間にか船は揺れ、船酔いもひどくなり、外海は大波で荒れ狂う▼嘆いていてばかりではいられない。船長選びは、それなりの決着が付くだろう。あとは乗客がどうするかだ。船の穴くらいは修理する役目を果たそう。そして、問題はあっても、乗組員と協力し、船を静穏な海に進めて行こう。今は、それしかない。