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デスク記事

2010/09/04

 急速な円高で、日銀は資金供給30兆円の追加緩和策を決定した。政策金利を0・1%に据え置く景気刺激策を打ち、円高ドル安に歯止めがかかると期待されている。しかし米国経済の先行き不安から、アメリカが市場経済を活性化させるためにドル安志向を維持する向きもあり、日銀の対応が従来の市場介入のような劇的な効果が得られるかどうか、疑問視する見方もある▼「史上最も暑い夏。気温が平年より1・64度高い」という数字が気象庁から出された。原因は例年日本上空を通るはずの偏西風が北にそれ、南から張り出した太平洋高気圧が居座ったためだ。また低温をもたらすオホーツク海高気圧が不活発なことも原因のひとつで、北日本の気温が平年より2、3度も高くなっている▼この気温や、熱帯地方にも似た突然の豪雨などで、農作物の生育に、地域により極端な差が出ている。これは野菜に顕著に現れ、野菜の高騰は家計を直撃している。生産農家は荒廃した畑を呆然と見守るしかない。サンマの漁獲も例年になく低調で、釧路、根室ではサンマ祭りも開催が危ぶまれる程だ▼円高、気温高、物価高。今年の夏の「3大高」と言えるだろう。いずれも、今までに経験したことのない現象である。気温に至っては、熱中症で救急搬送されたのは全国で約4万7千人。流氷のマチ紋別でさえ、熱中症にかかった高齢者が出たほどだ▼これらを総じて「異常」と言うが、異常とは常でないことを言う。本当に異常なら良いが、今後も続くなら、異常ではなく通常となる。これが恐ろしい。特に夏期の暑さは近年日常化しそうな傾向だ。日本列島に限らず、世界が経済、気象、政情不安の問題を抱えている。これが異常≠ナあることを願い、早急に平常に戻って欲しいものだ。