デスク記事
東京で「ベロタクシー」という、いわゆる自転車タクシーに乗ってみた。自転車の機能に客用の囲いをつけた簡単な乗り物だが、電動アシストはもちろん、油圧式ブレーキ、カーブをスムースに曲がれるようデファレンシャル・ギアーが装着してあるなど、運転者は操作しやすく、乗客は安心して乗って居られる優れものだ▼何と言っても人力≠セから環境に優しい。環境用にドイツで開発された乗り物で、「ベロ」とはドイツ語で自転車の意味。日本には2002年に京都に始めて導入され、次いで東京、そして全国に広がって北海道では札幌、函館で走っている、最近の乗り物だ▼後部座席には2人が乗れ、運転者とは距離が近いために、いろいろ説明してくれる。観光には最適と思った。私を案内してくれた運転手さんはまだ20代の若者。札幌出身だそうで「紋別からですかあ、流氷を見に言ったことがありますよ。食べ物が美味しいですね。特に魚が…懐かしいなあ、北海道が」と笑顔で振り向く▼彼は2年前に東京で職を探していて、このベロタクシーに出合った。「どこへでも行くのですか?」という私の問いに、彼は「ハイ、お客さんの希望であれば、どこへでも。ですから地理、建物など覚えるのが大変です。この2年間、地図とにらめっこです。何しろ、ナビがないですから」と言う▼さらに彼は「お客さんには、なかなか乗ってもらえません。生活は苦しいですけれど、お客さんとの触れあいが楽しくて、若い内はこの仕事を続けたいと思っています」と、また笑顔で振り向く。CO2の削減が世界で叫ばれているなか、このベロタクシーは時代の要求にマッチしている。しかしそれより、一度乗れば最高に快適なことが理解できる。しかも料金はとても安い。