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デスク記事

2008/08/10

 今は下駄(ゲタ)など、あまり履(は)かれなくなったが、それでも夏の浴衣姿の時など、日本人の日常生活には溶け込んでいる。履き始めのゲタは、指で挟む鼻緒(はなお)がなかなか合わず、指の間が赤く、痛くなる。そんな時は誰でも、鼻緒の長さを調整して自分に合わせるもの。幼い子が痛くて泣いている時、誰かが「直してあげるからネ」と腰をかがめたりするものだ▼今月に入って、樹脂製サンダルがエスカレーターに巻き込まれ、子供が足の指を骨折する事故が起きた。また飾りの付いた穴あきサンダルで、飾りから出た金属に足の指が傷を受ける事故が多発している。親は血相変えて「こんな不良品を作るなんて」とメーカーの責任を責めるが、履かせる前に、親が安全かどうか、何故確かめないのか▼東京ビッグサイトで、上りエスカレーターが乗りすぎた乗客の重みに耐えきれなくなり、急停止後逆に下がり、10人が怪我を負った。スシ詰め状態で、我先にフィギュア展示即売会の会場に押しかけた結果だった。趣味もいいが、あまりにも秩序のない大人。危険を察知できない結果の事故だ▼今の時代、自己の行動をあまりにも人任せにし過ぎる。豪雨の時に家族連れで川遊びをしたり、交通量の多い場所で、子供の手を離しておしゃべりに夢中になっている母親。事故がある度に「危険≠知らせるの看板がなかった」「エスカレーター入り口に整理員が少なかった」など、他のせいにする▼結局、サービスを受けすぎなのではないか。守って貰うことを当然と考え、その結果危険に備える「自己責任」という感性を失ってしまった。鼻緒を直す行為は、全ての危険回避に共通するのではないだろうか。完全な安全≠ネど、世の中にはないのだから。