デスク記事
中学生の時、私は複数の教師による校内での飲酒を、生徒総会で追求したことがあった。先生を告発するという、身に余る事、心を震わせながら発言した。今でもそのことを鮮明に覚えている▼総会は突然流会になり、その問題は消された。しかし教育委員会が動き、翌年多数の教師が異動になった。担任のS教師は「良く勇気をもって発言したな。それで良かったのだ」と私の肩をたたいてくれた。その出来事は、私の思考の原点になっている▼尖閣諸島沖の中国漁船衝突を撮影した映像がネットに流れた。流した海上保安官が名乗り出て、警視庁は東京地検と連携し、逮捕を念頭に入れ調べている。政府は「由々しきこと」と、海上保安庁の責任を追及している▼船長を突然釈放し、ビデオをひた隠しにし、中国に対しては卑屈な外交を続けながら、この海上保安官には「法」をもって厳しく追及する。外にはモミ手をし、身内を睨(にら)みつける。そんな菅内閣の姿勢が嘆かわしい▼この保安官は職を賭(と)して国民にビデオを公表した。国家公務員法違反かも知れないが、国家公務員としての義憤もあったはずだ。彼は、海上で命がけの現場に対し、それに応えない政府の姿勢に反旗を翻(ひるがえ)したのだろうか▼国民は、菅政権のとった今回の尖閣問題について多くの疑問を抱いている。ビデオについても、船長逮捕の映像がないなど、見えない部分は多い。海上保安庁の鈴木長官に望む。現場の最高責任者として、部下の行動を精査し、その心情をくみ取り、自身の職を賭して、事件を国会で明白にしてして欲しい。