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「迷走」は鳩山氏の代名詞だったが、菅総理もまた「迷走」、いや「迷歩」という部分で共通している。国民の支持率が急落しているのも、国家の方向性を示せない頼りなさに起因している▼「武器輸出三原則」について、菅総理は北澤防衛大臣と協議し、近くまとめる新防衛大綱に緩和≠明記する方針でいた。つまり、朝鮮半島の緊迫化や中国の軍事力拡大に対し、日本の安全を守る必要な手法│として、自衛隊の装備を諸外国と共同開発することを明記する方針でいた▼それが突如明記せず≠ノ変更するのは、社民党との連立を視野に入れたためだ。福島党首は、民主党と再度連立を組むための条件として、武器輸出三原則の見直し反対│を掲げている。菅総理は、衆議院で与党が数の上で優位に立つ手段として、社民党の要求を受け入れた▼菅総理が最初から見直さず≠フ姿勢なら納得できるが、国家の安全上見直しが必要と判断し、新防衛大綱の柱にしようとしたものを、社民党に強く要求され、いとも簡単にそれを撤回した。国の防衛より、党の国会運営の方が優先│と判断したことを意味する▼菅総理は最近「最後は私が判断する」と、リーダーシップ不足を補うような発言を多く発している。しかし信念のないトップが、国の重大事をご都合主義で判断するなら、国もまた迷走し、実に危険な構図に陥ることになる▼ここに至っては「総理をクルクル変えるべきでない」という一般論は、もはや適用出来ないのではないだろうか。総理であるための第一条件は、国民の信頼に応えるための充分な資質を持っていることなのだから。