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デスク記事

2011/01/06

 日本のロータリー(34地区、2310クラブ、会員9万人)に米山奨学会という、外国人留学生に奨学金を支給する制度がある。民間では規模、実績共に国内最大の留学生奨学団体である。北海道東部地区(2500地区)の今年度の留学生の面接が行われ、私は審査員として出席した▼当地区からの奨学生は6人の枠。そこへ約20人の応募者があった。返済義務のないこの制度は、日本の大学での勉強を通じ、本国に帰ったあと両国の友好に寄与することが期待されている。学生一人一人をロータリー・クラブが応援し、その中からカウンセラーが面倒を見るという制度だ▼面接の中に帯広畜産大学に通う韓国からの学生がいた。彼は韓国の極端な学歴社会を嫌い、高等学校を中退し、資格試験を経て帯広に来た。一回の試験に人生を左右される韓国社会の構造、そのため身体を壊すまでの猛烈な勉強。彼は「人間の総合力とは何か?」を自身に問いかけ、その答えを北海道に見た▼学歴社会に、何故疑問を感じるのか≠フ私の質問に、彼はこう答えた。「帯広には広い大地と美しい環境があり、その中で思いっきり深呼吸をし、勉強に励むことが出来ます。人間が人間として成長するためには、デスクワークによる知識だけでは不足で、より大切なのは、幅広い体験だと思います。韓国に居ては自然を愛でるユトリもないのです。私の望む事ではない」と▼彼は米山奨学生として合格した。審査員5人が満点をつけていた。彼は「総合力をつけ、日韓の友好親善に貢献したい」と力強く語っている。