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デスク記事

2011/01/14

 「真の友情を官職とか国家の公務に従事する人々の間に見出すのは最も困難なり」。ローマ期の政治家であり哲学者のキケロの言葉である。紀元前に生きた人の思想だが、それは現在に当てはまる▼菅、小沢、仙谷各氏の名前が連日メディアに出てくる。日本の政治の命運がこの3者によって決まるかのような、そんな印象さえ受ける。冗談じゃない。各人それぞれが問題をかかえ、国民の支持も得られていない、そんな方たちに日本の政治の帰趨(きすう)が委(ゆだ)ねられて良い訳がない▼今月中に予想されている小沢氏の強制起訴。その際に離党勧告すれば党の分裂、あるいは勧告しなければ菅政権の支持率低下を招くこと、さらに仙谷氏を続投させれば国会の停滞を招き、更迭すれば政権機能がマヒするなどと予想されている。どう転んでも政治は不安定になり、政治は軌道に乗らない▼先の衆議選で与野党の逆転を選択した、国民の政治への祈るような気持ちをどうしてくれるのだ。菅総理は最近特に「強力なリーダーシップを発揮する」と力説しているが、彼が今やっていることは小沢氏を追いやる事だけ。そんなことはリーダーシップと言わない。支持回復への小細工に過ぎない▼リーダーシップを発揮するのは、当然のことながら政策であり、外交であるべきだ。激動の、しかも非常に危険な今の世界情勢。日本の意志を諸外国に何ら伝えられず、党内と言う身内のいざこざに終始している姿は情けない。キケロが今居れば「成すべきことを政治家に期待するのは困難なり」と言うのではないか。