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人の心には「何か人の為になることをしたい」と言う願望がある。その内なるものが何かのきっかけで刺激された時、奉仕への行動となって表れるのだろうか。自分の感性に合った奉仕のヒントを得たとき、その人にとっても喜びなのだ▼先月25日、群馬県の児童相談所にタイガーマスクの主人公「伊達直人」を贈り主とするランドセルが届いたのをきっかけに、伊達直人現象≠ェ全都道府県に広がり、ついに紋別でも「月光仮面」が現れた。一つの善意がきっかけとなり自分に出来る奉仕の仕方で≠ニ、多くの人の心を動かし、贈り物の種類も多岐に渡るようになった▼最初のランドセルに心の内なるものを刺激され「人のために」という願望を行動に移すことが出来、名前を証さないことも、自己の心をも満たす要素になっているのだろう。子供達へのさりげない心遣いは、人間関係がギクシャクする今の時代、どこかホッとさせるものがある▼貧しいながら、隣近所付き合いが濃厚だった昔の長屋的発想が薄くなった今の社会で、人は自然に孤独になって行く。行動が直線的になり、社会と同様にデジタル化されてゆく。しかし人間は本来感情豊かな生き物で、それは今も昔も変わらない人間の本質だ▼それが薄くなって行く社会の中で、多くの人は、そんな殺伐とした社会に淋しさを覚えているのではないだろうか。伊達直人現象は、見えない所でつながっている人と人の関係を再認識させ、他へ目を向けることの大切さを教えてくれる。年の初めが、人の温かな心で始まった。