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「こんな時代」「こんな日本」「こんな世の中」。これらこんな≠ニいう形容詞が最近やたら目につくし、会話にも出る。その多くが否定的な意味合いを持ち、後ろ向きな響きになっている。バブルの頃の良き時代を懐かしがり、景気の良かった頃と比べてのことか、とにかく嘆き節≠ェ聞こえる▼時は刻々変化する。この地球上に約70億人。「無理なく生活するには約45億人が限界」と言われているが、それを遙かに超えている。日本も、耕地面積からすれば、1億2千万人は収容能力を超えている。つまり地球も日本も定員オーバーなのだ▼生存を可能にしているのが科学であり、それに依る産業等である。しかし、それも次の限界が見えてきた。限りある地球に無理して人間を詰め込み、食糧を増産し、誰もが楽しい生活を送ろうとする。その結果が環境、食糧、水不足問題を招いている▼世界中を見渡して欲しい。飢餓線上の人が年間億≠フ単位で増え続けている。内戦などで国から逃れた難民も増加の一途。力つきて道の片隅で命を終える母子、病院に行く費用のない人たち。一日100円以下で生活している人達は世界中にあふれている。例を挙げれば切りがない▼しかし日本は、人の命は国策で守られ、病院に行けない人は原則として居ない。社会保障がこんなに行き届いている国は、他にない。言論も自由だ。日々の生活に不満を持ち「こんな日本」と言っている人たちが、食べ物を残し、日本という清潔な環境の有り難さも知らない。「こんな日本」ではなく「お陰様の日本」なのだ。