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東日本大震災の犠牲者は数万人とも予想されている。今現在、瓦礫の下で救出を待っている方、あるいは海上を漂っている方、みんな血の叫びで救出を待っている。さらに母親が行方不明になり、遠くに向かって母の名を叫ぶ少女の姿がテレビに映っていた。全国民は、一人でも多くの生還の知らせを、祈りながら待っている。日本はもとより、世界中から馳せ参じている救援・支援の皆様の、最大の努力を期待したい。▼日本は今、戦後最大の危機を迎えている。東日本大震災の悲劇を、全国民が心を一つにして乗り越えなければならない。そして日本人一人一人が、自分の出来ることは何かを真剣に考え、小さなことから実行して行きたい▼近年の日本は、どこか常軌を逸していた。非情な犯罪が次々起こり、風紀は乱れ、社会不安が増大している。経済は落ち込み、政治は定まらず、国家そのものが迷走した。外交にも深さがなく、他国からの信用も失墜しかけている。これが日本か?≠ニ疑うような状況が続き、その末に今回の大震災が発生した▼終戦後、国民が共通の認識で緊張感を持ち、懸命に努力をし、復興への道を登り続けてきた。その結果、世界から賞賛される経済大国に成長し、今日の成熟社会を実現した。しかし近年の日本はそれに安住し、いつの間にか日本本来の姿を見失いつつある。それでも過去の延長線上に身を置き、先の見えない国になっていた。そのツケが今、様々な形で現れている▼しかし世界各国は、今回の大災害にも関わらず日本人の底力を信じている。被災者の驚くべき忍耐強さ、連帯、礼節、そして一般市民の被災者への協力、規律ある行動、愛情など、危機の中での日本人の行動に目を瞠(みは)っている。外国各メディアも、中国はマナー世界一≠ニ日本人の冷静さを賞賛し、アジア各国は「怒号もケンカもない強い国」と論評している。イギリスの新聞は、日本語で「がんばれ日本」という見出しさえつけている。今後の日本経済を懸念しながらも、日本人の今後に期待感を示している▼今回の地震、津波で犠牲になられた方々、被災された多くの方々のためにも、戦後最大の悲劇を乗り越えて、良き日本を構築しなければならない。どこか軌道から外れても、今までの勢いで何とかなっていた日本。しかし国民は、日本にもう後がないことに気づくべきだ。世界が認める日本人の勤勉さ、きめ細かな文化、様々な形での世界への貢献、平和志向などを更に伸展させ、この大震災を教訓として、美しく誇りある日本を再構築したい▼視線を個人に戻し、考えたい。一人一人が出来ることは確かに小さな事かも知れない。しかし、それが最も大きな力になることを認識したい。地勢的にも災害の少ないオホーツクに住む幸せを心に、電気をひとつ消すこと、水を今までより少なく使うこと、それら個人の心配りが集積して、節度ある日本を作ることになるのだ。小さな協力が日本の国作りに貢献することをしっかり心に刻んで、それぞれが日常の中で出来ることから実行して行きたい▼地震大国日本とは言え、今回は想定の上限を超えた地震、津波だと言う。今後日本の心臓部・東京を含めての関東、そして関西など、日本中どこかで大地震が起きる可能性は充分ある。今回が最終でないことも心に留め、その備えをしなければならない。今回の東日本大震災の犠牲になられた方々に心からの哀悼の意を表し、関係者の皆様が一日も早く心の安定を取り戻されることを、お祈り致します。