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21日、札幌に出かけたついでに新名所≠ニされる札幌駅からすすきのまでの地下歩行空間を歩いてみた。そこの多くの場所で、東日本大震災で被災者した人への寄付の呼びかけが行われていた。学生など若い集団が声をからして、真剣な表情で「お願いします」「ありがとうございます」と頭を下げていた▼帰りは地上を歩いたが、地下の混雑とは違って、人の姿は極端に少なかった。それでも寄付を呼びかける団体は多く、公園で、空き地で、駅周辺で、その他至る所で寄付を受け付けていた。札幌駅南口で、母親と一緒の小学低学年の男の子が、小さな自分のサイフから募金箱に百円硬貨を入れた▼見ていた母親が、笑みを浮かべながらこう言った。「○○ちゃん。お小遣い少なくなったネ。でもネ、その分地震で家をなくしたり、家族と離ればなれになって悲しんでいる人の力になるのよ。○○ちゃん、大きくなっても、この日のことを忘れないでネ」▼小さくうなずく男の子。母親に手を引かれて、時々振り返りながら駅に向かって行った。呼びかけていた学生達はみんなで手を取り合って喜んだ「嬉しいなあ、本当に嬉しい。百円がこんなに大きなお金だったとは…。このお金、誰の手に渡るのかしら」と▼今、日本中で、人と人の善意の連鎖が始まった。今後被災地の復興、被災者が立ち直るには多くの年月が必要だろう。また膨大な資金も必要だ。しかし今の日本には、今まであまり見られなかった善意の連鎖が始まっている。日本人の心が本来の優しさを取り戻し、他を思う心が、列島を走る。悲劇の中の、灯りだ。