←前へ ↑一覧へ 次へ→

デスク記事

2011/05/18

 ところ変われば品変わる」。山形で行われた葬儀に出席して、それを感じた。北海道の多くの葬儀は遺体を安置して行われ、その後火葬場に行くが、山形での本葬は死者がお骨になった後の午後3時から行われた▼ここでは、それが通例だと言う。亡くなったのはご主人だったが、喪主は妻ではなく長男。また北海道では葬儀の後、その場で初7日、49日の繰り上げ法要を行うのが通例だが、山形では、五七日(ごしちにち)、つまり人の死後七日を五度重ねた日の供養のみが、葬儀後その場で行われている▼「これは紋別でも見習いたい」と思ったのが「席」。葬儀の席は故人の家族だけが決まっていて、あとは親族も一般参会者も自由。葬儀に訪れた人は前席から順に座って行く。そして「焼香」。焼香順の呼び出しはなく、先ず故人の家族が行い、そのあと葬儀社の人の誘導に従って、親族も一般の区別なく、前の方から順に焼香をする。僧侶の読経の中、これらの儀式が粛々と進行した▼焼香順がないのはとても爽やかだ。前席はいわゆる偉い人などという習慣はなく、参会者は全て故人とゆかりの人。そのことが重んじられる。市長や議員のために席を確保するなどと言う、意味もないことは行われない▼少々戸惑ったが、山形方式も良いのではないかと思った。また弔電は本来遺族へお悔みの心を伝えるもの。葬儀場で公開するものではない。公職に在る人の電文だけが呼ばれ、本当に親しい人の弔電がその他≠ノなるのは如何なものか。葬儀は、故人とゆかりの人とのお別れの儀式なのだから。