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デスク記事

2011/05/28

 東京の銀座に「窓」という和食を中心にしたレストランがある。店主は日本を代表するシャンソン歌手・リリ・レイ。本名は長坂玲。年一回のNHKの「パリ祭」の常連である。「窓」では彼女のシャンソンと、和食を楽しむ事が出来る。料金は安く、私はここ数年、出張の時は訪れることにしていた▼先日挨拶状が届き、長い間経営してきた「窓」が、この5月で閉店することを知った。理由は、3月11日の東日本大震災以来、銀座の人通りはパッタリ止まり、客が殆ど来ない日が続いた。周辺の飲食店も同様で、閉店が続出しているという▼2008年に米国の投資銀行・リーマンブラザースの破綻の時、日本も金融危機、不況に陥り、経済が減速した。銀座という所は、日本で一番先に好不況の影響を受ける所だと言う。その時も銀座の飲食店は続々と看板をおろした。また高級クラブも値段を下げ、時には客引きさえ行ったという▼「今回は、それ以上かも知れません。大きな影響が出て、先ず人通りが極端に少なくなりました。今まで頑張って来ましたが、閉店せざるを得ません。今後は後輩の指導をしながら、本物のシャンソンを広げてゆきます」と挨拶状に書いてあった▼米国発の不況と、東日本発の大災害、そして原発事故。3つの出来事が銀座を直撃した。日本の高度成長、バブル時期には、高級クラブの連なる銀座は好景気≠フシンボルだった。しかしここ数年は衰退の象徴にもなっているようだ。その極端な変化に、多くの店は閉店を余儀なくされている。景気のバロメーター・銀座の再度の賑わいを期待したい。