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市内各小中学校で運動会が行われている。学校の年間行事の中でも、最もビッグな行事のひとつ。子供を持つ家庭では天候を気にしたり、盛りだくさんの昼食の準備をしたり、嬉しくも忙しい一大行事だ。児童数の多い小学校では恒例の場所取りもあって、運動会は何かと気ぜわしい事が続く▼当日、近所のおばさんに道ばたで出会った。「南小の孫に赤飯を作ってやったよ。こんな時でないと赤飯なんて作る気しないもんネ」と笑っていた。おばあちゃんの出番なのだ。一家の和がさらに広がってゆくだろう▼我が子が出る競技には、写真やビデオを手にした父母の姿。子供や孫が賞に入らなくても、「お前が一番元気だった」など親ばか$Uりを発揮する姿があちこちで見られた。良いではないか、親ばかも。平和で微笑ましい光景なのだ▼いつもの事を、いつものように実施できる幸せを、今ほど感じる時はない。今回の大震災で、被害を受けた地域の多くの学校が、運動会を開けずにいる。グラウンドが仮設住宅になり、原発事故で汚れ、体育館は避難所となって使えない。本当は元気に走っているだろう我が子が津波にのまれて居なくなった家庭。またはお弁当を作って、笑顔で迎えてくれる母を失った子供たち▼一瞬にして、今まで当然のように続いていた日常≠ェ消えてしまった。当たり前に行われていたことが、全て過去のものになってしまい、そして、もう戻っては来ない。紋別市内で行われている運動会を見るにつけ、親ばか、爺ばかがいかに素晴らしいことで、幸せなことか、そう思ってしまう。