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デスク記事

2008/09/10

 代表作「星の王子様」で知られるフランスの小説家・サン・テクジュベリは「人は、それがどんなに小さくても、自分の役割を認識したとき初めて世の中は平和になる」と話している。彼の作品の中に「バオバブの木」という木が、象徴的に出てくる▼マダガスカル島に自生する木で、幹の上に枝があり、葉は少なく、幹は極端に太い。こんな巨木が何故乾燥地で育つのか。それは樹皮の下に葉緑素を蓄え、そこでエネルギーを補給し、木の体内はスポンジ状になっていて、水分を充分蓄えることが出来るからだ。つまり荒れ地でも、乾燥した大地でも、そこに適応する知恵を、この木は持っているのである▼7日、藤幼稚園の運動会があった。始めに園長先生が「上手に出来る子も、そうでない子も居ります。でもそれは子供達の成長過程ですから、それを理解して拍手を贈ってください」と話した▼縄跳びも、徒競走も、あるいはリレーでも、子供達それぞれに個性があふれ、みんなが違っていた。しかし共通していたものが一つあった。それは、うまく出来なくても、時間がかかっても最後まで自分なりにやり通したことだった。大人だったら、これ程まで真面目に、ゴールできないと思った▼サン・テクジュベリは何故バオバブの木に惹(ひ)かれたのか。それは、与えられた環境の中で、その木が秘めた知恵と個性で、厳しさに対応している姿に共感したからではないだろうか。これからの時代、決して明るい材料ばかりではない。今、親の温かみの中で生きている幼児たちは、やがて厳しい環境に置かれることになる。成長過程にある子供たちが、乾燥したマダガスカル島で巨大な木に成長するバオバブのように、適応する知恵を育てて欲しい。