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友人3人の葬儀が28、29の両日、相次いで札幌、美幌、紋別で行われた。札幌は無理で、あとの2か所に参列した。札幌での葬儀は、私が米国のアラスカ州を初めて訪れた時、写真家・星野道夫さん(故人)を紹介してくれた日本人女性だ。ガンでフェアバンクス市の病院に入院していたが、その期間、彼女の友人のアメリカ人が当番制で世話をしてくれたという。フェアバンクスでは私も良くお世話になり、手製のサケの燻製をいただくなど、親切にしてもらった。外国で力強く生きていた▼美幌の美教寺の住職・牧野了泰氏は、私のロータリーの先輩。共にガバナーを務めたが、いつも笑顔でロータリーを語ってくれた。牧野氏もガンに侵され8年間の闘病生活だった。病床で彼はこう言ったという。「抗癌剤は味覚を奪う。何を食べても砂を噛んでいるようなもの。最後に抗癌剤をやめ、食べた食事の何と美味しかったことか。普段、当たり前と思っていることは当たり前ではないのです。座る事が出来ただけで嬉しいのです」と▼和田建設の社長・和田祥二さんには、この上なくお世話になり、家族ぐるみで心に沁みるお付き合いをさせて戴いた。彼ほど誠実で信頼でき、真っ直ぐで、男気に満ちている人を私は知らない。建築の仕事は正確で、その日を終えた現場はきれいに清掃され、翌日に備えられていた。彼もまたガンだった。食事が出来ず、しばらく原因が分らず病院を転々とした。分かった時はすでに進行していた。友人3人の死。暗澹(あんたん)たる思いである。3人に共通するもの、それは限りない優しさだった。