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「政治離れ」と言う言葉が生まれて久しい。それはバブル崩壊後なのか、または直近の5年間で5人の首相が次々に替わった「今」のことを言うのか。その言葉の質は年々変化して来ただろうが、今までは日本国家の運営に、それ程の危機感を伴わないで言われていたように思う。しかし「今」は過去と異なって、この言葉は日本の危機的状況を表す響きを持つに至った▼米国の格付け会社S&Pが日本の長期国債の格付けを1段階格下げした最大の理由は政治に長期ビジョンがなく、債務問題に一貫した戦略が欠けている≠ナある。立ちつくし、手をこまねき、震災後の日本の国家建設に考えが及ばない政府は、世界から厳しい目で見られ、孤立化している▼国民はまさか、これ程≠ニ思うほど、今の政治は劣化している。放射線に追われるように避難し、身を守ろうと、この暑さの中でけなげに長袖にマスクをして通学する子供達。不衛生な避難所生活を未だに続ける方たちを守ることも出来ず、内紛を続ける民主党、政策を掲げず口汚く非難し続ける野党。国会という箱から一歩も出ない不毛の政治が続いている▼今の日本の政治は破綻に近い。国民は、自ら日本を建て直し、震災から立ち上がらなくてはならない。その具体的な行動として、勇気をもって政治体制の改革を行う段階に来ている。国債が格下げになっても、大震災によるダメージがあっても、日本の国民、経済は懸命の立ち上がりを見せるだろう。世界が賞賛する国民性がそれを可能にする。国民は一流でも、残念ながら政治は5流なのだ。政治離れをする時ではない。