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デスク記事

2011/07/07

 政治家の失言、あるいは暴言が本人の失脚のみならず、内閣そのものへ大きなダメージを与えることは今までも多くあった。何故、言わなくてもいいことを言ったり、言ってはならない事が口からすべり出たり、軽率な行動を取るのだろう。ひと言が大きな影響を持つ政治家、特に閣僚の皆様は、余程気をつけて貰わなければならない▼古くは1953年の衆院予算委で、当時の吉田茂総理が西村議員の国際情勢への首相の見識≠ノついての質問で、吉田氏が答弁後、思わずつぶやいた言葉「ばかやろう」をマイクが拾い、大問題になり、結局解散に追い込まれた▼中曽根・元総理も「アメリカには黒人とかプエルトリコ、メキシカンとか相当おって、まだ非常に低い」と発言。当時は貿易摩擦などで反日感情が高まっていたアメリカで「人種差別だ」と大きな波紋を投げかけた▼そのほか元総理の森氏は失言総理と言われたし、村山氏は阪神大震災で「なにぶん初めての経験ですし、早朝の出来事で」と言い、批判をあびた。小泉氏は人徳か、かなりの失言をしても、あまり問題視されなかった。徳がなかったのは麻生氏で、数々の失言で総理を辞めるハメになった▼しかし今回の松本復興大臣の発言は、歴史上最低の部類に入る暴言だろう。失言ではなく、彼の本質から生じたものだ。国家権力を全身にまとい、被災地、被災者の生殺与奪の権限を自分一人が担っているような発言。しかも現地で頑張っている知事、関係者への居丈高(いたけだか)な姿勢。辞任するのは当然で、この時期、こんな人物が何故担当大臣になったのか、理解に苦しむ。